孤高な美しき世界。ダルトンハイウェイ走行最終日。

こちらは全7章でお届けする北極海到達チャレンジの第6章です。

第1章はこちらから

前回のお話はこちらから↓

自由の世界

吹雪が止まったのは結局、翌日の午後13時くらいだった。

実に20時間くらいも足止めされてしまった。

しかし風は止んでいる。

あれだけ風によりガサガサとうるさかったテントが嘘みたいに静かだ。

外に出ると唖然とした。言葉が出なかった。自分はこんなところにいたのか。

ちなみにペグを刺さなかったのは、ペグを打つ体力がなかったからだ。

トライしたのだが、ハンマーを持たない僕はその辺の石ころでペグを打つわけだが、衰弱していた身体でそれができなかった。

地面は硬く、そこに打つ力はもうなかった。

そんな自分の限界に近い状態で吹雪をやりすごし辿り着いた世界はブルックスの美しい世界だった。

厳しい自然はそれについて来れないものをふるい落とす。

しかしそのふるいに耐え抜いた者のみが訪れることのできる美しき世界は孤高な美を併せ持つ。

僕は

冒険だ!!!!

そうおもえた。

前日、あれだけびくともしなかったブレーキに絡まったものは、天候が回復し体が回復すると容易に直すことができた。

パイプラインはどこまでも続く。ブルックス山脈が本当に綺麗。そしてツンドラが麓に広がる。

ツンドラに湖に山。と言えばアラスカでお馴染みの大好きな景色だが、山が白い!本当に北極にいるんだな。

ブルックスの山並み。前日の厳しさが嘘のようだ。
道路はシャビシャビの泥。比較的走りやすい泥質だ。
これはパンプステーションと呼ばれる、ダルトンハイウェイの沿線上にある工業施設。

太陽が高くあがる。空の天井の高さが極地を思わせる。

パイプラインと雪のかぶったツンドラ、そしてダルトンハイウェイ。

美しい以外の言葉が見つからない。

しあわせ。本当に幸せでした。

北極にサイクリングに来たカップルと出会った。

前日に僕が吹雪の中、ブルックスを超えてくるのを発見していたらしい。

なんだかそんな人たちと会えるのは嬉しい。

焚き火で温まる。本当に最高だった8月21日を振り返る。苦難を乗り越えた者にしかその先の世界はない。乗り越えた壁が大きく高ければ高いほど、それを超えた先に広がる可能性は大きい。つまり自分の世界が広がる。それを自由なのだと感じた。21歳の僕の世界はぐーんと広がったのだ。北極にきて本当によかった。あそこで車に乗せてくれる誘いも断ってよかった。乗せてもらったとして、こんな体験ができていたとあとで知ったときには一生後悔するだろうな笑

北の果ての道、地平線まで続くツンドラの世界。

8月22日朝 

実はたまたま出会った方々のそばでテントを張らせてもらった。

ここでは詳細は省きます。

さて最終日8月22日はホワイトアウトからスタート。濃霧と降雪によりまたしても何も見えない。

そして絶望的なビハインド150km。

なんとこの日だけで230kmも走らないといけない。

え?

ビハインドが増えているって?

実は…8月21日はまず吹雪が昼まで回復しなかったこと。

そしてそのあと景色に見惚れていつもよりゆっくり走ってしまったことが原因してビハインドが150kmにまで大きくなっていたのだ。

これを一気にとりかえすため、最終日は写真がほとんどない。

悪天候であったのも原因だが、やはり時間の焦りによるものが大きかったからだ。

写真を撮る余裕はあまりなかった。

ジャコウウシの群れが近くにいると聞いたが発見できなかった…悔しい。

因みにジャコウウシはこんな動物。

すごくかわいい!!!!
そして大きい!!!
生で見たかった!!!

ツイートの紹介を承諾して頂きましたalwaysさん、ありがとうございます!!!

彼は2019年8月1日よりアラスカのアンカレッジをスタートし、僕と同じく北極海まで行き、今はカナダを抜けアメリカ本土まで走っている。

彼はダルトンハイウェイにてジャコウウシの撮影に成功している。

僕とは異なり、動物を遥か遠くから発見し、見つけると徒歩で近づき動物との距離を守りながら上手に撮影されている。

いきあたりばったり出会ったら撮影をする僕とは明らかに違う笑

さて、最終日、ずーっとホワイトアウトも覚悟していたが、だんだん視界が良くなってきた。

雪はいつの間にか雨へと変わっていた。生まれて初めて地平線を見た。

どこまでもどこまでもツンドラのみが続く。進行方向右側にはザグ川が流れる。

写真はない。

友人のゆ〜まが僕の記憶を鮮明に描いてくれた。ありがとう!

時間への焦りが原因で写真を撮らなかったのだが、案外逆によかったかも。

撮影のためにいちいち止まらないから逆にダルトンハイウェイ、ラストランに集中できる。

あの僻地を走っていた時間は最高だった。まるでツンドラの絨毯の中を永遠と走っている感覚。

ワタリドリとゴールへ

最後の60km、南からのワタリドリたちが僕の周りに群れを成し一緒の方角へ向かっていた。

あぁ、こいつらにとっても長旅もおわりか。

どんなことを考えているのかな?

俺はもう少しでダルトンハイウェイが終わってしまうなんて少し寂しいなぁ…

ねぇ?君たちはどこからきたの?

なんて考えながら走る。

ワタリドリが集まるあたり、いよいよ北極海は目の前なのだと実感する。

またゆ〜まに当時の様子を描写してもらった。
今回は完全に現場を忠実に再現というよりかは、少しゆ〜まの絵の世界観が強め。

始まるときは永遠に思えた北極海への800kmの道ももう間も無く終わりだ。

寂しい。最後の走りの中で僕は感じた。

ダルトンハイウェイへの挑戦は夢の中のようだった。本当に素晴らしい時間だった。

僕はここを冒険して本当によかった。

あと少しで終わり、手に入れるのは達成感か?

それとも何か他のものか?

行ってみなければわからない。

終わるのは寂しいけど、あと少し!

ワタリドリの鳴き声が終わりの寂しさを増長させる。

あと30km…

地平線のツンドラに太陽が落ちていく。

ずーっと降っていた雨が一時的に止んでいた。

つづきへ

次回はいよいよ北極海到達!最終章です!

また読んでくださいね!

遂に北極海へ!

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