アラスカ冒険記16:ミネソタの女友達。”あぁ、人ってこんなに温かいんだ。”

佐藤さんが亡くなった。

悲しみに心を支配された。

2019年8月9日、17〜18時ごろ、1人悲しく目の前のおいしいご馳走を食べる。

結局こちらのピザは食べきれず、お店の人が箱に詰めてくれると言った。

後から食べられるように食べきれなかったのを梱包してくれるのだ。

しかしテント泊なので熊を寄せ付けかねない食べ物をもらうわけにはいかない。

ピザは持ち帰らず、1人店から1.5km離れたテントへと戻った。飲酒後なので歩いて戻る。

$16の食事は一瞬

翌朝、下痢に襲われた。

慣れないことしたのがいけない。

前夜の食事量が多すぎた。

確かピザ屋の横にカフェがあったはず。

そこなら朝も営業しているだろう!

と思い自転車に乗り下り坂を一気に降る。

テントを片付ける余裕なんてなかった。放置して自転車のみで下った。

この自転車、大半の装備を外した状態だとこんなに軽く走るのか!

感動した。が、感動している場合ではない。急いでトイレへ。

トイレだけ借りるのは申し訳ないのでご飯を頂くことにした。

これで$16くらい。高いったらありゃしない。

デナリがステンドグラスに描かれる。

朝食を食べながら、昨夜見たテレビ局からの佐藤さんの死を受けて、佐藤さんについての取材依頼のDMは本物だったのだろうか?

そんなことを考えた。

ボーっとしながら食べていたのにすぐに食べ終わった。はぁ、$16の食事も儚いな。

とにかく前に進まない

天気は今にも雨が降りそう。

走り出して1時間も経っていないし、いつもよりペースも遅め。それでも疲れがすごく、すぐに休憩。盛り上げるために万歳してみる。

気温も低くなりmont-bellのロッシュパーカを着用。

この建物にすごく可愛いお姉さんが働いていた。

くしゃみをした際に、この可愛いお姉さんが

“Bless you.”

と声をかけてくれたのには元気が出た。

美女に言われたら尚更だ。

少し元気が出たので、またサドルに座り走り出す。

依然としてアップダウンはある。

既にアラスカ山中の標高の高いところにいるはずなのだが…

友人の死によるネガティブな感情ゆえの脱力か?

あるいは単純に連日の疲れが出てきたか。

昨日まで登れていた坂が登れない。

歩いて登る。

心なしかいつもより疲れが早く回る。

気付いたら小雨の中サイクリングではなくウォーキングに。

まぁ、幸いにもずーーーっと!登りではないので当然自転車にも乗れる。

ただ前に進まない。倦怠感がすごい。

遂にデナリ国立公園・保護区に到達。

天気は少し回復。

しかしまたすぐにでも雨が降りそう。

夢への挫折、友の死。悲しみの底から立ち直らせた出逢い、ミネソタの女性2人。

バーブとクリスタンに出会う。

少し簡単なお話をして国立公園のことを少し尋ねた。彼女たちはアメリカ本土のミネソタ州からカナダをも通り、ずーーっとドライブしてきたそう。超ロングドライブである。

彼女達の最終目的地はフェアバンクス。一緒の方向である。

国立公園はパークス・ハイウェイを外れて行かなければならない。

アラスカ全土のデカい地図しか持ってないのが失敗だ。

行けばわかる気もしたが、彼女たちに甘んじて国立公園に連れて行ってもらうことにした。

車はホンダのオデッセイ。まさかの日本車。

ロングドライブによってし白のボディは泥がたくさんついていた。こういう汚れ、個人的には結構好き。

車は15〜20分くらいしか走っていないかな?

自転車で走ってもかなりすぐのところが国立公園のビジターセンターとなっていた。

しかしこの日はかなり天気が荒れ模様。雨も数日続くとのことだった。

一緒にフェアバンクスくる?

この提案、かなり揺らいだ。

国立公園まで案内してもらう予定だったからだ。

確かにここから数日雨ならば予定を変えて先に北極海に行くのもアリだ。

無論雨でも構わない。ただ、北極海への北上中と北極海からアンカレッジへの南下中との両方でデナリによる場合、それぞれが短期滞在になる。

ここ数日雨が続くだろうと聞くが、ここでデナリに滞在しても全て雨になる可能性のが高くないか?ならば北極海に至った後に落ち着いて長期滞在した方が良いのでは?その方が晴れた時のデナリを拝める確率も高い。

そう考えた。

このフェアバンクス行きの車はまるで新幹線だ。いや、自転車と比べたらもはやロケット並みの速度である。

結局一緒にフェアバンクスに向かうことにした。

この決断により僕はこれからバーブとクリスタンと半日を過ごすわけだが、その時間が僕を励ます大きな力になるとは当初思っていなかった。

だって僕はただ自分の打算で動いただけでけっして彼女たちに慰めてほしいとか思ってなかったから。

いや、今にして思えばどこか期待していたのかも。

心の弱っていた僕を優しく支えてくれる誰かのことを…。

フェアバンクスへの超特急列車にのる。(車だけど)

オデッセイの中って見た目以上にデカいんですね。

たった半日の3人旅行

シアトルでのスマホ盗難疑惑?により紛失し、自己嫌悪。

スマホなくてもなんとかやれるぞ!

と気持ちを切り替えて頑張ってはいるものの、やはり彼女、親友をはじめとした親しき人との普段の何気ない連絡というのができない状況は意外と辛く…。

また達成への不安に駆られながら連日動きっぱなしだった。1日のノルマの距離よりも多くを走り、それでいながら州立公園の要所をほぼ全てきっちり回った。

長い日照時間を生かし、長時間動いていた。

いや、動いている方が安心できたのだ。

また動物の危険のある夜が怖かった。本当に怖かった。

おまけに佐藤さんの死が余計にこの先の不安を駆り立てる。

人の死のせいにしたくはないが、正直僕にとって佐藤さんという海外ツーリングの先輩の死は衝撃的だったのだ。

あの佐藤さんが…、あれだけ元気にアラスカや世界の魅力を語ってくれた佐藤さんが亡くなるなんて予想にもしない。

「生きて帰国してまた会いましょう!」

彼はそう言ってくれていた。

必ず生きて〜してまた会おう!

ゲームや映画なら死亡フラグが立っているこのセリフ。

いや、本当に死んでどーすんだよ!佐藤さん!

そんな気持ちだった。

志半ばに散った彼の無念はいかなるものだろうか?

それとも死ぬ時は無念なんて感じる間もなく、呆気なく一瞬でイッてしまうのだろうか?

北極圏、北極海、アラスカそんな言葉。それらの言葉は”大自然を連想させる言葉”であった。

僕は紛れもなく冒険家への大志を懐きアラスカにやってきた。しかし現地についてから感動する景色を目にしつつも、先に述べたスマホ紛失やら不安に駆られた長時間の運動による体力低下や夜の恐怖などから自分の小ささ、先輩冒険家の背中の大きさを痛感し挫折した気持ちでいた。

またその挫折している自分にも嫌になった。

あぁ、俺の夢はこの程度か…

と。

自分の不甲斐なさへの情けないという気持ちや友の死への悲しみから僕はあの時かなり落ち込んでいた。今でも強く覚えてる。

これらの気持ちや佐藤さんのことを話せる限りの英語で彼女らに話した。

途中かなり英語に詰まるが、彼女らは最後まで文句も言わず聞いてくれた。

弱い雨がパラパラと再び降り出す。

写真を撮りたいが窓が微妙に濡れてるので、綺麗に撮れない。

車窓を開ける許可をもらいシャッターを切る。

途中彼女らのスマホを借りて翻訳機能を駆使して全てを伝え終えた。

しばらく彼女らは黙っていた。

それから2人はたくさん歌を歌い出したり、僕にも通じるジョークをたくさんいってくれた。

時に下ネタも。

下ネタは世界共通か笑

元々よく笑う人たちなのだろうか?

だが、明らかに僕に元気を出させようとしてくれているのを感じた。

ニナナ村に着く頃には、その辺一帯は晴れていた。
冬になるとここで雪祭りがあるらしい。

この方角を見ながら彼女らにピザとビールをお裾分けしてもらった。勿論運転する2人は飲んでいない。

悪いから遠慮はしたが、結局お言葉に甘えた。

この村では面白い人と出会った。
そう、なんとこれキックボード。
これでメキシコからアラスカまで来たらしい。

次に寄ったのはParks Hwy上の一つの小さなお店。

これは店主がデザインしたスウェット。

シロクマが交尾している。

だがおもしろいのはココからだ。

FAIRBANKS ALASKA

のところを折ると氷の割れ目が見事に

“FUCK YOU”

となるのだ。

これにバーブとクリスタンは男が女をバックで突くように腰を少し振ってみせながら爆笑していた。

彼女らがあんまりおかしくやるもんだから、こっちも笑えてくる。

因みに店内は金がいっぱい。

少し雰囲気としては苦手だった。

その後僕達は少しの運転であっという間にフェアバンクスに着いた。車すごすぎ。250kmくらいをあっという間であった。

しかし同時に彼女らとのお別れの時でもある。

あぁ、人ってこんなに温かいんだ…。

彼女らは最後にフェアバンクスのカフェに連れて行ってくれた。

そこでその日泊まる場所を探すことになった。

テントでいいんだけど…。

って思ったが

“ダメあなたは休みなさい。”

と言うのでホステルを探すことに。

さすがに宿泊料までは世話になりたくない。自分で出した。

最後に一緒に折り紙をした。かなり楽しんでくれていた。たかが折り紙されど折り紙。

気づく人もいるかな?

少し折り方違うんだけど、まぁ許してあげて。

彼女らをホステルの前で見送る。

丁寧にお礼を言いたいが、出てくる英語は

“Thank you so much.”

くらいである。

たった半日だった。しかし彼女らが僕をたくさん笑わせようとしてくれていたことに気づかないはずがなかった。

感謝でいっぱいである。

感謝を言葉にしようと英語を振り絞っているうちに僕は泣き出してしまった。

恥ずかしいが声を出して大泣きした。

他人の目の前で声を出して泣くなんてどれくらいぶりだろうか?

その時、クリスタンとバーブは抱きしめてくれた。

そして

“逃げたい時はいくらでも逃げなさい。それはあなたを守るためよ。十分に逃げて、落ち着いたらまた立ち向かえばいいのよ。色々責任もあると思うけど、自分を大切にしないとだめよ。”

そう言ってくれた。

かぁぁなりゆっくり喋ってくれた😅

そしてまた強く、強く抱きしめてくれた。

あぁ、人ってこんなに温かいんだ…

彼女らの体温が伝わるという物理的な伝熱だけじゃない。

優しさに溢れたハグはとても温かかった。

あの温もりを忘れない。

つづきへ

自分を大切にしていい。

挑戦しているだけでいい。

戦い続ける必要はない。

途中逃げてもいい。

でもまた立ち向かえばいい。

そう誰かに言ってもらえると本当に落ち着けた。

とてもとても嬉しかった。

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です

日本語が含まれない投稿は無視されますのでご注意ください。(スパム対策)